株式会社PREVENT(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:萩原悠太、以下 PREVENT)は、社内研究組織Insight Labを中心に、名古屋市立大学との共同研究により、心血管リスクを有する成人男性1,369名を対象に、6カ月のモバイルアプリ型生活習慣改善プログラムにおける身体活動(歩数)の変化軌跡を解析しました。Group-Based Trajectory Modeling(GBTM)により3つの歩数軌跡を同定し、歩数の主な増加はプログラム開始後3カ月以内に生じること、さらに開始直後2週間のアプリ利用時間が長い参加者ほど、最も大きな歩数増加を示す軌跡に属する可能性が高いことを示しました。

本研究成果は国際学術誌Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sportsに掲載されました。

研究のポイント

研究の概要

本研究は、PREVENTが健康保険組合経由で提供する6カ月のモバイルアプリ型生活習慣改善プログラム「Mystar」の実利用データを用いた後ろ向き観察研究です。対象は2018年12月〜2023年11月に参加した成人のうち、ベースラインの歩数が8,000歩/日未満で、かつ高血圧・脂質異常症・糖尿病のいずれかを有する男性1,369名(中央値55歳)。全員に手首型活動量計(Fitbit Inspire)を配布し、歩数を自動収集しました。妥当日を1,000歩/日以上と定義し、各週につき3日以上の妥当日を満たした週の平均歩数を算出、全24週(初回・最終週含む22時点)で縦断データを構築しました。介入は電話相談(隔週・計12回)とチャットフィードバックを組み合わせ、運動・食事・睡眠・飲酒・喫煙・ストレス管理などを個別に支援。アプリのエンゲージメント(利用時間・ログイン回数)は全期間および開始2週間で集計しました。

歩数の縦断軌跡はGBTMで推定し、情報量規準(BIC/AIC)と事後確率、分類の適合度指標に基づいて3群モデルを採択しました。その後、群間比較(Kruskal–Wallis/Steel–Dwass、χ二乗)と、多変量ロジスティック回帰により、顕著増加群に関連する因子を検討しました。

研究の結果

GBTMは3つの歩数軌跡を同定しました。

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開始2週間のアプリ利用時間はグループ3が最長で、群間差は有意でした(中央値:グループ3 6.5分/日、グループ1 5.2分/日、グループ2 4.9分/日、p=0.039)。プログラム全期間でも利用時間に群差があり、グループ2はグループ1・3より短時間の傾向を示しました(全期間p=0.005)。多変量解析では、年齢(OR 1.03[95%CI 1.01–1.06]/年、p=0.018)と開始2週間のアプリ利用時間(OR 1.02[1.01–1.04]/1分/日、p=0.021)が、顕著増加群(グループ3)への所属と独立に関連しました。BMIや中性脂肪は単変量で関連を示したものの、多変量では一貫しませんでした。